ごあいさつ


大阪府地域医療支援センター長 宮園将哉

令和2年4月1日

大阪府地域医療支援センター長

宮園将哉

 このたび、令和2年4月1日付けで大阪府地域医療支援センター長を拝命いたしました、大阪府健康医療部保健医療室副理事の宮園です。

 さて、みなさんは医師不足という言葉にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 近年、地方を中心に医師不足の問題が顕在化してきており、大阪のような医師多数と呼ばれる地域は、医学部定員の減員や府外の医師少数地域への医師派遣などの取り組みが求められています。確かに、大阪は全国的にみれば医師多数といわれていますが、泉州や中河内など一部地域での医師不足、また産科や小児科、救急医療などの特定の診療科での医師不足は、地域の課題として引き続き対策が必要です。そのような大阪府特有の地域の課題を解決するためには、医師のみなさんのご協力、特に若い先生方の参加が必要不可欠と考えています。

 当センターでは、みなさんが地域や診療科のことを知りたい、働いてみたいと思ったときに、「先輩が少なく、なかなか繋がりが持てない」、「誰に相談したらいいか分からない」といったお悩みについてサポートしていきます。例えば、会員登録いただいた医師に個人別のキャリア形成プログラムを作成し、大阪府内の魅力的な病院群の中で、効率的に腕を磨いていただく多様な選択肢を提示していくなど、先生方の相談やご質問に丁寧に対応させていただきながら、医師のみなさんのキャリア形成支援と地域の医師不足の解消に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。なお、この事業は大阪府が進めていますので、大学や公立・私立など病院の設置主体にもこだわらず、公共的・中立的な立場で取り組みを進めていきます。

 また、今後増加する地域枠医師や自治医大卒業医師のみなさんのサポートを充実させます。例えば、定期的な個別面談や診療科別セミナーなど卒前卒後の支援を充実させ、上述のキャリア形成プログラムに沿いながら一緒にキャリア形成を考える時間を増やします。さらに、入学前の受験生や保護者の方々に対しても、分かりやすい広報により、地域枠が多くの受験生の選択肢となるよう工夫してまいります。今後は、これらの取り組みを通じて大阪の第一線で活躍できる地域枠などの医師を育成する仕組みをつくり、将来的には大阪府地域枠などのブランド化も視野に入れて事業を進めたいと考えています。

 医師のみなさんには、国家試験に合格して医師免許を手にした時点から一生涯、数十年にわたる長い医師人生の中でキャリアアップのチャンスがたびたび訪れます。進路を選択するにはその都度さまざまな悩みや迷いが生じるため、それらを解決するための情報が必要になります。ご自身が持つ医師という資格を活用して、地域の医師不足という問題の解決に協力したいと考えていらっしゃるみなさんには、ぜひ当センターをご利用いただき、みなさんとともに課題解決に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。

 当センターは、大阪府内において安定して医師を確保するための仕組みづくりを目標としています。近年、地域医療構想の推進や医師の働き方改革など、医療や医師などをめぐる社会的な環境が変化する中で、医師の育成だけでなく、地域の実情に応じた医師配置、病院間の連携、多職種の連携、大阪府が実施するドクターバンク事業など、大阪府の医療全体を視野に入れた対策を強化していきます。

 最後になりましたが、当センターを創設から支えてくださった前センター長の勝二先生、そしてこれまでの取り組みに参画いただきました、大阪府内の多くの関係機関のみなさんと地域の先生方に感謝するとともに、今後ともご支援とご協力をお願い申し上げます。