先輩医師からのメッセージ
プログラム利用医師
救急コースの先輩医師
救急医/公衆衛生学修士(米国在住)
木下 喬弘先生
出身地:兵庫県
出身大学:大阪大学(2010年卒)
専門分野:救急・外傷・公衆衛生
若手医師の声と志に応え、
一人ひとりのキャリアチャンスを
全力でサポートしてくれます
2010年に大阪大学を卒業後、大阪府立急性期・総合医療センター(現 大阪急性期・総合医療センター)にて初期研修を行い、救急診療科に入局しました。初期研修を合わせて9年間の臨床経験の中で、本当に多様な経験をさせてもらいました。
大阪急性期・総合医療センターの救急診療科は、若手医師が臨床の主役です。集中治療管理も外傷初期診療も手術も血管内治療も、年次が上でなければできないということはありません。指導医に後ろで見守られながら、自分の頭で考え手を動かして身につけた診療スキルは、どこの病院でも活躍できるという自信を与えてくれました。
その中でも、世界で初めて救急初療室にCTとアンギオ装置を設置した「ハイブリッドER」を用いた臨床経験は、私にとってかけがえのないものでした。今や日本全国の救命センターだけでなく、アジアやヨーロッパに広まりつつあるこのシステムを作り出した病院で研修し、その研究に携わったことは、私の人生に大きな影響を与えました。2018年に論文を発表してからの2年間で、海外学会で12回も講演する機会をいただき、国際的なキャリアを歩むきっかけを与えてもらいました。
2019年には、臨床研究のスキルを磨くため、ハーバード公衆衛生大学院に留学しました。日本におけるHPVワクチンに関する医療政策研究などが評価され、2020年度ハーバード公衆衛生大学院卒業賞を拝受し、現在は米国でAIを用いた臨床研究に従事しています。
私が大阪府医療人キャリアセンター(現・大阪府地域医療支援センター。以降、キャリアセンターと表記)の「キャリア形成プログラム救急コース」に登録したのは卒後3年目のとき。キャリアセンターが立ち上がって間もない時期であり、私は一期生となります。
キャリアセンターでは当時から、世界中の学術論文を閲覧できる「UpToDate®」が無料で利用できたり、国際学会に参加するため交通費や宿泊費を補助する海外学会等参加費支援などがあり、臨床研究、論文作成、国際学会での発表など、私のキャリア形成を大きく支えてくれました。
大阪府には、救急医が初療を行い、必要に応じて各科が専門的治療を行うER型救急ではなく、重症の救急患者に絞って治療対応をしてきた歴史があります。大阪府ではER型救急医を養成するため、米国から救急医を招聘してセミナーを開催するということで、私はその立ち上げや教育プログラムにも携わりました。このセミナーは誰でも参加することができ、医療英語を学べることもあってとても評判がよく、セミナー開催に係る経費などの支援をキャリアセンターにバックアップしていただきました。
また、私がハーバード大学への留学を相談したところ海外留学助成金制度が導入されるなど、キャリアセンターは若手医師たちの声やニーズに応えるためのサポートやプログラムづくりに積極的に取り組まれています。それは大阪府が若手医師一人ひとりのキャリア形成にしっかり目が向いている証しであり、こういった姿勢だけでも大阪府で医師として働く価値は大きいと思っています。
キャリアセンターには何でも相談に乗ってくれるスタッフのみなさんがいます。一人ひとりのキャリアアップのチャンスにしっかり応え、目指すキャリアに最適な道筋を示してくれるはずです。キャリアセンターのサポートやキャリア形成プログラムを存分に活用し、あなたの思い描く医師、やりたい医療に向かって積極的にチャレンジしてください。大阪府でなら、あなたが目指すキャリアを実現できるはずです。
取材日:2022年1月5日
周産期・産科コース(産婦人科)の先輩医師
海外留学・学会参加など、
学ぶ意欲をしっかりサポート。
産婦人科医を目指すなら大阪府で
初期臨床研修を大阪市立大学で行い、初期研修終了後産婦人科に入局すると同時に同大学大学院医学研究科に進み、研究をしながら大学病院や大阪市立総合医療センターで産科の研鑽を積みました。大学院修了後は泉大津市立病院へ3年間赴任し、その後、約2年間の海外留学を経て、現在は大阪市立総合医療センターの産科に勤務しています。
大阪市立総合医療センターの特徴は、母体救命や合併症妊婦などハイリスク妊産婦の高度で専門的な医療を経験できることです。新生児の集中治療(NICU)、小児外科、小児循環器内科、小児心臓血管外科、小児脳神経外科、小児がんといった大阪府の小児・総合周産期医療を担う病院であり、珍しい症例を学ぶこともできます。
一方で、大学院修了後に赴任した泉大津市立病院では外来診療を経験し、患者さんとコミュニケーションを図りながら、生活背景、ご家族との関係を踏まえた診療など、地域に密着した産婦人科診療を学びました。
大阪市立総合医療センター
産科 医長
北田 紘平先生
出身地:大阪府
出身大学:大阪市立大学(2009年卒)
専門分野:産科
私がキャリアセンターの「キャリア形成プログラム
周産期・産婦人科コース(産婦人科)」に登録したのは卒後8年目の海外留学直前の頃で、泉大津市立病院の同僚に教えてもらったことがきっかけでした。
キャリアセンターのサポートとしては、iPS細胞の研究でフロリダ大学へ留学した際の海外留学助成金制度、国内外の学会に参加した際の学会参加費補助制度、そして文献の取り寄せや世界の学術論文が閲覧できる「UpToDate®」の無料利用などを活用させていただきました。
金銭的な理由で留学や学会への参加に二の足を踏んでしまうこともあるでしょうが、こうしたサポートがあることで自分の勉強を気兼ねなくできることは非常に素晴らしいことだと思います。また、文献の取り寄せや「UpToDate®」の無料利用も、卒後3年目以降、自分が治療方針を決める立場になると文献を調べることも多くなり、サポートのありがたさを実感できるはずです。
産科は忙しいというイメージがあると思いますが、大阪市立総合医療センターでは主治医だけではなくチーム全体として患者さんを診療しており、個々の負担は比較的軽減され働きやすいです。2024年からは「医師の働き方改革」も始まりますし、どの科に進んでもそれぞれに大変さがあり、後悔しないためにも自分がやりたい科に進むべきです。
そのなかで産婦人科は、唯一「おめでとう!」と言える新たな命の誕生という素晴らしい経験ができ、赤ちゃんから老年期まで、女性の健康を内科系、外科系、両方からサポートできる魅力的な診療科です。
また、大阪府は昭和の時代から、産婦人科の専門医療を24時間態勢で提供する「OGCS」(産婦人科診療相互援助システム)を全国に先駆けて確立するなど、周産期医療に非常に力を注いできた地域です。大阪府は産婦人科を目指す医師にとって最適で、大きく成長できる環境にあると感じています。
取材日:2022年1月20日
周産期・新生児科コース(小児科)の先輩医師
将来の社会につながる小児・新生児医療を
キャリアサポートが充実し症例数の多い
大阪府でともに学びませんか
私は、大学卒業後に"全人医療"を掲げる淀川キリスト教病院にて初期研修を行い、新生児医療に興味があり小児科の道に進みました。新生児医療は、児の全身と家族をもトータルでサポートする必要があるため、多くの診療科やコメディカルとの連携を含め全体をマネジメントする能力も必要です。後期研修は、他府県からも多くの患者さんが集まり、新生児医療の研鑽に十分な環境が揃った大阪母子医療センターを中心に行い、小児科の各専門領域を学んだ後に、新生児科の医師になりました。
臨床だけではなく、"システム"として医療をより良いものにするにはどうしたらいいだろう?と考えていた時期に、上司から厚生労働省の医系技官(小児・周産期医療専門官)の話があり、チャレンジしました。そこでの経験は、再び医療現場に戻った際に、より安全な医療体制や災害対策、スタッフが健康に働ける「働き方改革」の体制づくりに活かすなど、医系技官として学んできたことを病院や学会に還元しながら、日々、診療にあたっています。
大阪母子医療センター
新生児科 医長
祝原 賢幸先生
出身地:大阪府
出身大学:旭川医科大学(2008年卒)
専門分野:小児・周産期(新生児)
私はキャリアセンターの「キャリア形成プログラム小児科コース」に後期研修から登録し、学術集会への参加や文献の取り寄せなどに活用させてもらいました。さらに、当時の日本では限られた新生児集中治療室(NICU)にしか導入されていなかった人工呼吸器についてフィンランドで学べるということで、海外視察の支援もしていただきました。大阪母子医療センターに導入予定であったこともあり学びに行かせていただきましたが、キャリアセンターでは、たとえ個人的な学びであったとしても、目的がしっかりしていれば柔軟に対応やサポートをしてくれます。このときの海外視察については、スキルアップはもちろんですが、先端医療の導入に関われたことも貴重な経験となりました。
日本は少子化にあり、専門医などを目指す医師にとって、経験できる症例が限られる地域も増えてきている状況にありますが、大阪府の小児科は充分な症例数があります。また、困難な状況に多施設で取り組む風土もあります。将来の社会につながる小児・新生児医療について、他府県の医師も大阪府で経験を積んで地元に戻るというようなシステムができれば、全国的な小児・新生児医療の底上げにつながるのではと考えています。
医師になると、どの診療科に進もうか迷うことや、小児科では専門領域が多種あるため、やりたいことが複数出てくることもあると思います。そんなときはキャリアセンターに相談してください。個々に最適なキャリアや、どのようなルートで学ぶのが最善なのか、しっかりと方向性を示してくれるはずです。
そして、医学生の方や若手医師のみなさんには、いろんなことを見聞きする機会をたくさんもってほしいと思います。そういう意味でもキャリアセンターをぜひ活用してください。学術集会や研修に参加したり、いろんな人と出会い、見聞を広めることで、新たな興味や本当にやりたいことが見つかったり、キャリアアップのチャンスを多く得ることができるでしょう。
取材日:2022年1月12日