先輩医師からのメッセージ


地域枠医師・自治医大卒業の医師

地域枠の先輩医師

大阪府の周産期医療に貢献できる大きなやりがい。
キャリアサポート体制も万全です

私は大阪府の「地域枠制度」の第一期生として大阪市立大学医学部に入学しました。「地域枠制度」とは、正式には「大阪府地域医療確保修学資金等貸与制度」と言い、卒業後に大阪府内の医師数の少ない地域の病院や、救急・周産期(小児科、産婦人科)医療などに勤務する意志のある人に奨学金が貸与される制度で、初期臨床研修期間(2年間)を含む卒業後9年間、大阪府内の定められた医療機関で勤務することで奨学金の返還が不要となります。私は当時小児科志望であり、大学卒業後も大阪から離れたくはなかったですし、何よりも経済的に助かることから「地域枠制度」を活用して入学しました。

大阪府の地域枠卒業生には、大阪府医療人キャリアセンター(現・大阪府地域医療支援センター)の支援があり、キャリア形成プログラムや、キャリアに関するさまざまな情報提供、定期的な面談など、義務年限中のキャリア形成に不安を持つことのないよう、さまざまな面でバックアップしていただけます。また、スキルアップのためのサポートも多々あり、私は学会参加費補助制度をよく利用させていただきました。

PL病院 産婦人科
(大阪市立大学医学部附属病院
産婦人科 所属)

谷脇 絢子先生

出身地:大阪府
出身大学:大阪市立大学(2016年卒)
専門分野:産婦人科全般

大学卒業後は大阪市立大学医学部附属病院の研修プログラムに入って同病院や済生会千里病院で初期研修を行い、その後、大阪市立大学の産婦人科に入局して同大学病院にて産婦人科医としての研鑽を積みました。そして5か月間の出産・育休後、医局人事により2020年4月から現在のPL病院の産婦人科に勤務しています。

現在、卒後6年目ですが、対応できる症例も多くなってきました。手術手技のトレーニングについては大学病院で執刀・助手を積極的に経験させていただいたことで、技術的にも大きく成長したと実感しています。大学病院では高度で専門的な治療に携わっていましたが、PL病院に赴任して外来も担当するようになり、外来から不妊治療、妊娠、そして出産まで一貫して診ることができるなど、大学病院とは異なる医療に新たなやりがいや面白さを感じています。

産婦人科は唯一「おめでとうございます!」といえる診療科です。そして、妊娠・分娩の「周産期医学」、不妊症やホルモンに関連する「生殖内分泌学」、がんなどの腫瘍を扱う「婦人科腫瘍学」、そして女性特有の心身にまつわる疾患を予防的観点から取り扱う「女性医学(女性ヘルスケア)」という4つの柱とサブスペシャルティ(基本領域の専門医取得後に目指す、範囲の狭い専門医)からなっており、その全てが面白くてやりがいのある分野です。2022年の春からは産婦人科専門医となりますが、サブスペシャルティとしてどの道に進もうか迷っています。それほど産婦人科はやりたい分野がたくさんある魅力的な診療科です。
周産期医療に興味のある方は、ぜひ「地域枠制度」で医師を目指してはいかがでしょうか。

取材日:2022年1月12日

自治医科大学卒業の先輩医師

病院での臨床だけではなく保健医療行政も経験し、医師としての大きな強みに

私は自治医科大学を卒業後、大阪急性期・総合医療センターで研修を行い、大阪府立中河内救命救急センターの勤務を経て、現在は大阪府庁の健康医療部保健医療室医療対策課にある救急・災害医療グループに勤務しています。

自治医科大学には、入学金や授業料などの学費を貸与する修学資金貸与制度があり、各都道府県から毎年2~3名ずつ入学した卒業生は、それぞれの出身都道府県に戻ってへき地や離島の病院や診療所など、医師の確保が難しい施設などで原則として9年間、各都道府県の指示に基づいて勤務することとなります。

しかし、大阪府の場合には他府県と異なってへき地や離島がないため、病院などでの臨床だけではなく大阪府庁の関係各課や府内の保健所など、公衆衛生分野の保健医療行政に一定期間勤務することとされています。

大阪府 健康医療部
保健医療室 医療対策課
救急・災害医療グループ

升井 淳先生

出身地:大阪府
出身大学:自治医科大学(2013年卒)
専門分野:救急・外科

自治医科大学は全国47都道府県から学生が来る大学であり、医学生時代も卒業後もいろんな出身地の同期・先輩・後輩と繋がりをもつことができ、常に全国各地の医療状況を知ることができます。さらに大阪府の自治医科大学出身者は、病院での臨床と行政の両方を経験できることが大きな魅力です。行政での経験は医師としての強みとなり、後のキャリア形成に大きく役立つと感じています。

私は現在、大阪府庁で救急や災害時における医療体制の整備などに携わっています。大阪府には病院前と病院後の救急搬送データを一括して扱う「ORION」という、画期的な救急システムがあり、最近ではコロナ禍による救急医療ひっ迫の問題解決に活用されています。この「ORION」のデータ分析や、データに基づいた救急搬送のルール改正などに携わっています。

医療体制を大阪府全体から俯瞰し、地域全体の患者さんを多角的にバランスよくみるなど、行政で学んだことや経験は再び臨床現場に戻って患者さんを診る際に活かすことができると思っています。

医師は人々の命に関わる責任の大きな仕事ですが、その分やりがいも大きく、人々から感謝される仕事です。そのなかで自治医科大学出身者は、医師数の少ない地域や診療科、医師確保が困難な分野に貢献できるなど、やりがいは圧倒的に大きいと思います。大阪府の医療に貢献したい、自分が必要とされるところで働きたい、公衆衛生分野や保健医療行政なども経験したいという方は、ぜひ自治医科大学を目指してください。大阪府の医療を一緒に支えてくれる仲間が増えることを楽しみにしています。

取材日:2022年1月12日